今回はお子さんの歯並びの中でも早めに歯医者に行ってほしい
受け口=反対咬合、下顎前突、しゃくれ
についてお話ししますね。
受け口とは
受け口(うけくち)は反対咬合や下顎前突(かがくぜんとつ)または、しゃくれともいいますが、
簡単にいうと上の前歯よりも下の前歯が前にあるかみ合わせのことです。
中には奥歯も反対咬合になっている場合もあります。


ひとくちに「子どもの受け口」といっても原因は様々で
1,上の前歯が内側に傾いているなど歯に原因がある場合
2,何らかの原因で下あごが前にずれている場合
3,骨格的に上の顎より下の顎が大きい場合
などがあります。
1や2は口を閉じる力や舌の位置や食べるときの動作、癖などによるもので、
3の骨格的なものは遺伝的要素によるものになります。
1~3の要素が複数関係している場合もあります。
特にパパもしくはママが反対咬合の場合は3番の場合が多いので注意して様子をみていきましょう。
受け口は割合としてはそれほど多くありませんが、
時期を逃すと治療が大掛かりになることが多いので注意が必要です。
▼合わせて読みたい/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-001.html
受け口かもと思ったら…歯医者にいく?様子を見る?

結論からいうと受け口に関してはできるだけ早く歯医者に相談することをおススメします!
乳歯(子どもの歯)はだいたい3歳くらいで生え揃いますが、その時点で受け口であれば歯医者に行きましょう。

でも、大人の歯に生え変わるし、その時に治るかもしれないよね?

遺伝で顎の骨格に問題がある場合は永久歯になったからって治るものでは無いよ。
それに癖が原因だとしても長期間つづくほど悪化したり治りにくくなっちゃう。
どうして早い方が良いかというと、原因が何であれ、
乳歯列の受け口は特別なものでない限り数か月で無理なく治すことができるからです。
受け口に関しては「善は急げ」です。
放っておくとどうなる?
では、様子をみて放っておくとどうなってしまうでしょうか?
受け口は何かしらの原因により上顎より下顎が前にあります。
下顎は「長管骨(ちょうかんこつ)」という骨の一種で身長が伸びる時期にぐんぐん成長します。
上顎が上にかぶさっている正常な嚙み合わせと違い、
下顎が前にある反対咬合はストッパーが無い状態なので下顎がどんどん伸びてしまいます。

特に思春期(第二次成長期)は身長が急激に伸びる
「成長スパート」と呼ばれる時期!
この時期は下顎もぐーっと成長するよ。
成長スパートの時期
女の子…平均8歳からスタートして11歳頃がピーク
男の子…平均11歳からスタートして13歳頃がピーク
この成長スパークに入る前の幼児期のうちに治すことが大切です。

受け口の問題点

そもそも受け口だったら何か問題があるの?というパパママさんもいるかなと思いますので、
「受け口の問題点」もお伝えしますね。
- 物がうまく噛めない
- 発音がうまくできない
- 上顎の成長が抑制されてしまう
- 骨の形や筋肉も反対咬合に適応した形で発育してしまう
- 顔貌のコンプレックス など
下顎が前にずれていますので、食べ物をうまく噛めず、くちゃくちゃ音がしやすくなり胃腸への負担も大きくなります。話すときも発音しにくく舌足らずのような発音になります。
また、骨や筋肉も下顎が前にある状態で発育するので顎の関節に負担がかかったり、筋肉も反対咬合に適応した形で成長してしまいます。
反対咬合の時期が長くなればなるほど、成長のゆがみが大きくなります。

反対咬合の時期が長ければ長いほど
周りの関節や筋肉、歯への負担が大きくなっちゃう!
大人になってからでも治る?

結論からいうと治すことはできます。
が!
受け口の具合にもよりますが、手術が必要になるなど大変で負担が大きくなります。
永久歯の反対咬合を治すということは一度は完成した嚙み合わせを再度作り直すことになるからです。
成長してしまった骨は戻りませんので骨を削る手術が必要になる場合もあります。
自然に治ることはある?

治ることはあります。
単純に下顎を前に出す癖が原因だったり、扁桃腺肥大などで呼吸がしにくいことが原因だった場合などはそれを改善すると受け口も自然に治ったりします。
ただ、それを期待して様子をみている間にも歯並びやかみ合わせ、顎の関節、筋肉は正しい成長ができていないことを考えると、やっぱり早めに歯医者で見てもらったほうが良いと思います。
ただし、乳歯が生え揃う前までは50%くらい治る可能性があるので様子をみましょう。
乳歯がすべて生え揃った時点で反対咬合の場合は治療の対象になりますので歯医者で相談しましょうね。
治療期間は1年前後

幼児期であれば就寝時にマウスピース型の装置を使って治します。
きちんと装置を使うと半年もかからず改善しますし、
長くても1年前後で改善することがほとんどです。
この装置はお子さんの舌や唇の力を利用して矯正するもので、寝ている間に使います。
3歳で使えるの?と思うかもしれませんが、
子どもは順応性が非常に高いのですぐに慣れて上手に使えます。
👇合わせ読みたい/https://www.kyousei-shika.net/矯正歯科ネット
※骨格的な原因の場合はチンキャップや上顎牽引装置という装置を使うこともあります。また、顎の成長などにより再度の治療や固定式の装置での治療が必要になる場合もあります。


なんだかすごい装置に見えますが寝るときに装着します。
反対咬合は再発しやすい!定期的に歯医者でチェック!
反対咬合は乳歯列の時期であれば割と短期間で治りますが、
骨格的な要因が大きいパターンだと成長にともなって再発する可能性もあります。
治ったからと油断せずに定期健診やフッ素塗布を兼ねて定期的にチェックしてもらうと良いです。
身長がどれぐらい伸びるかが予測できないように顎の成長も予測のつかない部分も多いため、
再度治療が必要になったり、固定式の装置が必要になる場合もあります。
信頼できる歯医者で長期的にみてもらうようにしましょうね!
時期を逃さず信頼できる歯医者に相談!

反対咬合は年齢が高くなるにつれて治療が難しくなります。
成長期を過ぎてしまうと顎の骨を削る手術が必要になったり健康な歯を抜かなければならなかったりすることもあります。
もし、歯医者で「様子をみましょう」といわれた場合も、
長期的に経過をみてくれるかどうか、
今後どの時期にどんな治療をする予定で経過をみていくのか確認してください。

大人と違って子どもは日々成長していきます。
時期が遅れると治療が大変になることもあります。
もう少し早く相談に来てくれたら・・・と思うことが多々ありますが、なかには
「ほかの歯医者でもう少し様子をみて大丈夫と言われた」ということもあります。
歯医者によって考え方や治療が違いますので、
きちんと説明をうけて納得できたか、
信頼できるか見極めていくことも大切です。
パパママさんが納得できる説明がないようであれば、
他の歯医者でもみてもらうことをおススメします。
▼歯並びが悪くなる原因とは?
最後まで読んでいただきありがとうございました!